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運動すれば逆境に強くなる! 運動とメンタルの深い関係

体を動かすことが私たちに与えてくれる最大の恩恵は、私達自身の“できない”という強い思い込みを覆してくれることです。

それを裏付けるように、人生において大きな困難に立ち向かう時の勇気や姿勢を表す言葉を思い浮かべてみると、“障害を乗り越える”、“重荷を背負う”、“壁を打ち破る”など、体による動作を用いたものが多いことに気づきます。

今回の記事では

  • 体を動かし困難を乗り越えることの心理的効果
  • 体を動かして困難を乗り越えられれば乗れるプラスのスパイラル

についてお伝えしていきます。

 

困難を乗り越えられたラットは逆境に強くなる

行動し、困難を乗り越えることは心理面に大きなプラスの影響を及ぼすことを明らかにした実験があります。

1967年、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンは2匹の犬をそれぞれ

①頭部を動かすと自分で電気ショックを止めることができる部屋

②自分で電気ショックを止めることができない部屋

に入れました。

①の部屋の犬は自分で電気ショックを回避することができますが、②の部屋の犬は何もできず、ただ電気ショックを受け続けることしかできません。

次に、柵で2つの小部屋に仕切られ、片方の小部屋のみ電気ショックが流される部屋③を用意しました。

電気ショックが流される前に合図があり、この合図を見てもう一方の小部屋に移動すれば電気ショックを回避することができます。

この部屋③に順番に犬を入れたところ、初めの実験で①の部屋にいた犬は合図を見て、もう一方の小部屋に移動し、電気ショックを回避することができました。

しかし、②の部屋にいた犬は合図を見て移動すれば電気ショックを回避できるにもかかわらず、何もせず電気ショックを受けるままになっていました。

 

同様の実験がラットでも行なわれています。

電気ショックを自分で止めることができない環境にいたラットは、何をしても無駄だと学習し、そのほかのストレス環境においても自分から状況を改善しようとしなくなりました。

しかし電気ショックを自分で止めることができる環境にいたラットは無気力にならず、自信をつけ勇敢に振る舞うようになったのです。

この2つの実験からわかることは、電気ショックを自分で止めることができた犬とラットは、自分の行動によって結果が変わるということを学び、気力を失わず、ほかの逆境においても果敢に立ち向かう自信と力を得ることができたということです。

 

次の挑戦への自信を生むプラスのスパイラルに乗る

このような反応は、もちろん、あなた自身にもあてはめることができます。

体を動かし行動することで困難を乗り越えられた時、運動面で無理だと思っていた目標を達成できた時、自分自身への大きな信頼感や自信を得ることができます。

その効果は長く持続し、次に困難にぶつかった時ひるむことなく立ち向かう力、遠いと思っていた目標へ挑戦する力につながるのです。

そして新たな目標に挑戦し、やり遂げた時、あなたは自分が強固なプラスのスパイラルに乗っていることに気づくでしょう。

 

参考文献:ケリー・マクゴニガル「スタンフォード式 人生を変える運動の科学」 大和書房,2020年,p168-189

Seligman.M. E. P. & Maier. S. F. 「Failure to escape traumatic shock」Journal of Experimental Psychology,74,1967,p.1-9

★★★weara元担当のすずまりさんと、らいらさんの記事を「weara blog編集部」としてこちらのアカウントにまとめています。★★★