TOP

[futura_search]

【週3回×6週間で変化】不安やうつ改善効果をもたらす運動

コロナウイルス拡大防止のための長い自粛が心理的にも影響を及ぼし、うつ症状になってしまう方が増えているようです。

そんな方にぜひおすすめしたいのが「週3回×6週間の持続的な運動」です。

運動といっても、激しいスポーツを行う必要はありません。軽いジョギングなどの有酸素運動や体を動かすだけでも、心の不調の改善とダイエットの効果が期待できます。

今回の記事では

  • 運動が不安やうつを改善する理由や実例
  • 効果の出る回数・期間

について詳しくお伝えしていきます。

 

Contents

運動には抗うつ・不安改善効果がある

運動を1回しただけでも、気持ちが晴れやかになったり、血流が良くなって体の調子が整ったように感じたことがある方は多いのではないでしょうか。

運動や体を動かすことで脳から分泌されるエンドルフィンや内因性カンナビノイドという物質は、高揚感をもたらしたり、幸福感を感じさせたり、不安を軽減させる働きがあります。

継続的に体を動かすことで、脳の報酬系の活性化、不安を抑制する領域の活性化が起こり、抑うつや不安障害を防止することに大きな効果が期待できます。

 

週3回、6週間のリハビリで脳循環が促進

抑うつ防止や不安改善のために体を動かしたいけれど、どれくらいやれば効果があるのだろう、と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。

体を動かすことで、実際に脳循環が促進され、心理症状の改善に繋がることが明らかになった研究調査があります。

2020年に兵庫県の南淡路病院で、アルツハイマー型認知症を患い、暴言・暴力・興奮・不穏などがみられる90代の女性に対し、週3回、6週間にわたりリハビリテーションを行った結果、心理症状が軽減し、夜間せん妄が改善されました。

研究者らは、運動により脳内アミンが活性化すること、エンドルフィンの放出を促進することで脳循環の促進が図られ、心理症状の改善に繋がったと考察しています。

激しい運動ではなくても、体を動かすことを週3回、6週間続けることで大きな変化を実感できることが分かります。

 

運動とバソプレッシンが生む、心理効果への可能性

福岡大学薬学部が2009年に行った研究調査で、さまざまな精神疾患に関与しており、ストレス反応の変化にも関わっていると考えられているホルモン、バソプレッシンの受容体を欠損したマウスでは、ストレスの影響を受けやすく、胃潰瘍などを最も発症しやすいことが分かりました。

実はこのバソプレッシンというホルモン、抗利尿作用があり、運動などをして汗をたくさんかき体内が脱水(高浸透圧)状態になると多く分泌されます。

2010年の生理学研究所の研究発表で、さらに運動などで生まれる乳酸はバソプレッシン神経を興奮させ、体内に分泌されるバソプレッシンの濃度を増やすことが明らかになりました。

これまで明らかになっていた、エンドルフィンや内因性カンナビノイドの作用に加え、運動によるバソプレッシンの分泌は、精神面へ良い影響を与えることが期待できそうです。

 

参考文献:ケリー・マクゴニガル「スタンフォード式 人生を変える運動の科学」 大和書房,2020年,p.91-94

南淡路病院「行動・心理症状がみられる患者に対する精神科作業療法的介入について」 慢性期リハビリテーション学会誌,7巻,2020,p.265

大学共同利用機関法人自然科学研究機構 生理学研究所「Acid-sensing ion channels in rat hypothalamic vasopressin neurons of the supraoptic nucleus」 The Journal of Physiology,588,2010,p.2147-2162

福岡大学薬学部「精神機能におけるバソプレシン受容体の役割」日薬理誌,134,2009,p.3-7

★★★weara元担当のすずまりさんと、らいらさんの記事を「weara blog編集部」としてこちらのアカウントにまとめています。★★★