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運動はともに励まし、支え合いながら続けよう。スポーツと「耐え抜く力」の関係性

2020年は東京オリンピックをはじめとして、コロナウイルスの影響で多くのイベント、スポーツ大会が中止になりました。

観客や応援者なしで開催されたスポーツ大会もありましたが、選手の士気が上がらなかったという話を聞きます。応援が選手に与える力は、かなり大きいものなのかもしれませんね。

長距離を数日かけて走るマラソン大会などでは、応援だけでなく、選手と一緒にペーサーが並走することが認められているものもあります。

ほとんどの選手がひとりでも充分走りきれる走力を持ちながら、ペーサーをつけるケースが多いところを見ると、ともに走る人がいることで得られるパワーはきっと大きいものなのでしょう。

今回の記事では、そんな協力から生まれる絆、“ともに耐え抜く”力について、スポーツの場面を中心にご紹介していきます。

 

短距離世界記録保持者が見せた涙

1992年、イギリスの短距離選手で世界記録保持者のレドモンドはバルセロナオリンピックの400m準決勝のスタート地点にいました。

前回大会では負傷で出場できなかったため、今大会は満を持しての出場。メダル獲得を誰もが疑わなかったレドモンドでしたが、スタート後しばらくしてハムストリングスの肉離れを起こしてしまったのです。

ほかの選手が遠く先を先行しゴールしていく後ろを、勝敗が決まっていても、ふらつきながらゴールをめざすレドモンドをテレビカメラや取材陣が囲みます。

一人の観客が係員の静止を振り切り、スタジアムの応援席の柵を越え、レドモンドの元に駆け寄りました。

レドモンドの父親でした。

止めようとする責任者を静止し、テレビカメラや取材陣でごった返す中を二人はゴールに向かって歩き始めたのです。

この様子を見て、カナダの選手がレドモンドにメッセージを送りました。

「やり抜く力と意思の強さがきわだった、これほど純粋で勇敢な姿を、僕は見たことがない」

レドモンドのやり抜く力は本当に素晴らしいものでした。

しかし、その場面を見ていた者をもっとも感動させたものはおそらく、アスリートでも選手でもない父親が、息子を助けようとトラックに駆けつけたことと、メダルを狙える強靭なスポーツ選手であるレドモンドが、助けを素直に受け入れたことだったのでしょう。

私たちが困難に立ち向かい、希望を捨てずに前に進むためには、協力や支えがどれほど重要なものかを観客は感じたに違いありません。

 

それぞれが持つ心の支え

マラソンを超える距離のウルトラマラソンに参加する人は、長時間一人きりで走り戦っているように見えますが、ほとんどの選手が1歩ずつ足を前にすすめるための心の支えを持っているようです。

例えば、家で応援している家族、ゴールで待っていてくれる仲間、スタート地点で励ましあった今日出会った人、コーチや道中応援してくれるボランティアの人たち。

誰かとのつながりや絆を意識した時、人はより自分の存在意義を感じ、自分の持ちうる力を充分に発揮できるのではないでしょうか。

wearaにもユーザー同士で同じ目標に向かって協力できる「ミッション」機能や、日々のアクティビティを共有できるSNSシェア機能があります。ぜひ他のユーザーと支え合いながら運動を楽しんでみてくださいね。

 

参考文献:ケリー・マクゴニガル「スタンフォード式 人生を変える運動の科学」 大和書房,2020年,p.274-288

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