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寝る子は育つは本当! 大人の睡眠知識が子どもの将来に大きな影響を及ぼす

睡眠というと、成人が対象の情報がほとんどで、プラスして高齢者の睡眠について、認知症予防などと一緒にでくることが多いと思います。

しかし、自分で睡眠習慣をコントロールできるのが大人です。睡眠に問題を抱えているとしても、病的なもの、加齢による変化を除いては、自らが起こしているとも言えますよね。

では子どもはどうでしょうか。今回は子どもと睡眠の関係について見てみましょう。

子どもを取り巻く社会環境は?

子どもの生活環境は、大人のいる世界から切り離されているわけではありません。基本的に大人が作り出した世界の中にあります。

24時間オープンしているお店、不夜城のような街、パソコン、ゲーム機、スマートフォンが普及し、オンラインゲームが豊富で、SNSでのつながりも当たり前になり、24時間いつでも誰かとつながれる世界があります。さらに部活があったり、受験のため、放課後は学習塾や習い事に通うなど、とても忙しい日々を送っていることもあります。

大人でも生活習慣が乱れてしまうわけですから、子ども達の生活習慣が乱れやすいのはあきらかですね。

実は、研究によって成長期の子ども達の不規則な生活や睡眠不足などが、日中の疲労感を増加させ、学力や情緒を含めた心身の発達に影響を及ぼすことがわかっています。

子どもの推奨睡眠時間と実態

Cute little girl sleeps sweetly in a white cozy bed with a soft bear toy, the concept of children's rest and sleep

米国睡眠学会や米国国立衛生研究所がサポートする米国睡眠財団が2015年1月に公開した、世代ごとに推奨される睡眠時間によれば、必要とされる睡眠時間は以下の通りとなっています。

0〜3ヶ月:14〜17時間
4〜11ヶ月:12〜15時間
1〜2歳:11〜14時間
3〜5歳:10〜13時間
6〜13歳:9〜11時間
14〜17歳:8〜10時間
18〜25歳:7〜9時間
26〜64歳:7〜9時間
65歳以上:7〜8時間

2012年から2014年に富山県、石川県で4505名の小学生、中学生、高校生を対象に行なわれた調査では、小学生の平日の睡眠時間は8時間48分、休日は9時間15分、中学生では平日が7時間13分、休日が8時間22分、高校生は平日が6時間18分、休日が7時間36分という結果になったそうです。いずれも推奨時間よりも短いのがわかります。

就寝時間の点から見ると、小学生は平日21時34分、休日21時55分、中学生は平日23時4分、休日23時24分、高校生は平日23時59分、休日24時11分となっており、3年ごとに1時間ずつ遅寝になっていることが明らかになりました。

自立起床(自然に自分で目覚められること)も難しくなり、起こされるので朝の気分が悪く、そうなるほどに忘れ物が増える。また心身の疲労感も高まり、学校では居眠りが増えて集中力、注意力の低下傾向も見られるといいます。

みなさんの、または周りのお子さんはいかがでしょうか。

乳幼児が眠らないとどうなるのか

2005年に富山県で行なわれた5歳児以下の保護者1048名のアンケート調査の結果、多くの事実が判明しましたが、中でも「就寝時刻は幼児の日中の情緒不安とも有意な関連が見られる」というのは覚えておきたいポイントだと思います。

就寝時間が午後10時半を超える幼児の半数以上が、日中情緒不安の傾向が見られるとのことで、午後10時以降に就寝する子どもの保護者は、就寝時刻が午後11時以降である割合が8割で、「子どもの就寝時刻が保護者の就寝時刻とも有意な関係にある」とされています。

そのような子どもは朝自然に目覚めることができず、朝食を食べない割合も増えるそうです。また日中の活動量にも影響を及ぼし、夜遅く就寝する子どもは活動量が少なく、早寝に切り替えると増えることもわかっています。

夜10時を超えた就寝ではさまざまな生活上の弊害が生じるため、できるだけ夜9時までに就寝することが望ましいようです。就寝時刻を早めるためには、夕食を午後7時までに食べることも推奨されています。

児童・生徒が眠らないとどうなるのか

Shocked cute pupil in classroom

さらに成長期の児童生徒の生活が不規則になり、睡眠不足となると、その影響は顕著です。

日常生活では情緒が不安定になる、キレやすくなる、我慢できない、疲れている、不登校傾向がある、心身の不調の説明ができない、自己中心的な傾向が見られる、指示待ち傾向が見られる、平均的な発達よりも幼稚である、低体温化する、体力低下が見られる、姿勢が悪い、すぐに骨折する、肥満傾向になる、視力が低下する、アレルギー傾向があるといった問題が起こりやすくなるといいます。

気になるのは学力面でしょう。2006年に小学生を調査した結果として、就寝時間と学力の平均点には有意な関連が認められたといいます。特に算数において有意差があったそうです。また、平均点が高いほどお通じがいい、疲れにくいという傾向があったほか、家族との会話の量の点でも有意な関係が認められたそうです。

子どもの睡眠を奪うことは、成長の機会を奪うこと

Group of kids friends arm around sitting together

就寝時間が毎日バラバラという不規則な生活は、短期記憶をつかさどる「海馬」の働きを低下させますが、特に成長期の子どもの寝不足は「海馬」の成長そのものを妨げることもわかってきています。

近年では子どもの「お受験」も過熱しているようです。しかし、睡眠時間を奪ってまで勉強させるのはむしろ逆効果であり、「とにかく眠らせて欲しい」と専門家も警鐘を鳴らしています。

日本でも子どもに向けた睡眠教育が始まっている地域もあるようですが、実際は大人の生活習慣、大人が持つ睡眠に対する知識(価値観)が生活習慣に直接反映されてしまうのが現状です。

子どもが眠らないということは、成長の機会を失うことであり、将来の可能性を狭める行為であると心得えましょう。まずは大人が睡眠に対する知識を持ち、実生活で活かしていくことが大切ですね。

<参考文献>

白川修一郎「命を縮める『睡眠負債』を解消する 科学的に正しい最速の方法(祥伝社)
日本睡眠改善協議会 基礎講座 睡眠改善学 第2版(ゆまに書房)