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良質な睡眠をとるための就寝前カウントダウンルーティーン

健康を維持・増進促進するためには、適性な生活リズムの維持の改善がとても重要な意味を持ちます。中でも睡眠時間は生活リズムを整える第一歩です。起床時間が不規則だと、一日の生活リズムが狂うだけでなく、体内時計やメンタルの不調まで引き起こしかねないといわれています。起床時間を一定にするには、当然ですが就寝時間を安定させるのが最善です。

そこで今回は、良質な睡眠をとるために良いとされる就寝するまでのルーティンをカウントダウン形式でご紹介したいと思います。

就寝2~3時間前までに適度な運動を

習慣的な運動を適切に実施すると、心身のさまざまな機能が向上します。睡眠は、健康や心身の機能全般との関連が深く、運動習慣の有無で睡眠の良否を比較したほとんどの研究で、その有効性が認められています。

たとえば、就寝前には適度な運動をするのが良いとされています。その理由としては、良質な睡眠をとるためには体温をスムーズに下げることが重要になりますが、このような体温調節機能は習慣的な運動で向上します。

また、運動によるストレス解消作用も睡眠に良い影響を与えます。寝る2~3時間前に30分程度の軽い運動をして体温を上げておくことで徐々に体温が下がっていき、就寝時間には適切な体温になっている状態に移行できます。

一方、夜に激しい運動をすると、その晩の睡眠の質が下がる(興奮状態で寝つきが悪くなったり、痛みなどの不快感で夜中に目が覚めたりなど)と言われていますが、汗をたっぷりかくようなハードなエクササイズは交感神経を高ぶらせ、心身ともに興奮状態に陥りやすくなります。近年の報告では、このような夜間の激しい運動後にも眠れる、との結果も認められています。

忙しい現代社会では、夜間に運動する人も相当数に上ると思われます。夜間に運動する人の注意点は、運動後の遅い時間帯には消化に時間のかかる重い食事を避ける、スポーツジムなどの明るい照明下での運動は、夜21時までくらいを目安にする、が挙げられます。

遅い時間に明るい光を浴びると、生体リズムが夜型化し、翌朝、起き辛くなるかもしれません。そうなると寝つきも悪くなるため逆効果です。就寝前の運動はウォーキングや軽いストレッチ程度にとどめておくことがポイントです。

さて、就寝までのルーティーンはまだまだ続きます。

就寝2時間前までに夕食を済ませる

よく「寝る前に食べると太る」といわれていますが、ダイエットという観点だけではなく、良質な睡眠をとるという点からも就寝直前の食事は良くありません。食事のタイミングは、生体リズムの調整因子の一つであり、遅い時間帯の食事は、夜型化をもたらす原因となります。

食事をとると体温が上がるため、快眠に適切な体温になるまでに時間を要します。そこで、夕食は就寝の2時間前までに済ませるのが良いとされています。また、食事の時刻も概ね1時間の範囲内に収めることで、消化器官の調子を整えることができます。日によって夕食のタイミングが異なると、胃もたれ、便秘など消化器系の不調を招く可能性があります。

また、アルコールやカフェイン、ニコチンの摂取も夕食後は控えるのがベターです。お酒やコーヒーは飲まないようにしている人でも、意外な盲点なのがお茶です。日本茶にもカフェインが含まれるため、覚醒作用が快眠を妨害することになりかねません。さらには水分の過剰摂取や利尿作用により、就寝中にトイレに起きる回数も増えることになり、デメリットが気になるところです。

総じて、食事、アルコール、カフェイン、ニコチンの摂取は就寝2時間前には済ませるようにしましょう。

就寝1時間前 入浴

快眠のためには、このタイミングでお風呂に入るのが理想です。入浴は心を落ち着かせるとともに体温の調節にも一役買います。入浴はシャワーで済ませる人がいますが、できればバスタブに入り、38~41度のややぬるめのお湯に合計で15~20分ほど浸かると良いでしょう。入浴後に体温を下げる効果があるため、就寝するころには最適のコンディションになります。

どうしても熱いお湯に浸かりたい場合は、夕食の前など、就寝2~3時間前までに済ませると良いでしょう。また、入浴は精神的なリラックス効果をもたらすため、快眠の最重要ルーティーンといえます。

1つ覚えておきたいこととして、入浴後は適度な水分補給をするのが望ましいとされています。その際は、前述のアルコールやカフェインが含まれない飲料水などがおすすめです。

就寝30分~1時間前 部屋を暗くする

いよいよ就寝直前の段階です。スムーズに眠るには心と体のリラックスが重要となります。そこで、就寝1時間前には部屋の照明を暗くして気持ちを落ち着かせます。

日本の住宅照明は明るいものが多く、自分で気づかないうちに夜更かし、ということがよくあります。明るさのイメージとしてはホテルの部屋くらいで、照明も白熱灯のようなオレンジ系の照明にしてください。実際に試してみると、想像以上の効果があります。そうすることで、自然と体も眠る体勢へと準備を整えていきます。

逆に、テレビやパソコンなどの光は脳を興奮状態にするため、眠りを安定させるホルモンが分泌されにくくなります。また、読書も刺激が強い内容だと覚醒作用をもたらせるため、気持ちが落ち着く内容の本を選ぶ方が無難です。読んでいると眠くなるぐらいの内容が理想でしょう。

就寝直前 眠くなってからベッドに入る

ベッドに入るのは、就寝前の最後の行動でありクライマックスといえます。「後は眠るだけ」の状態ですので、できるだけ速やかに眠りに就きたい場面です。しかし、脳が興奮状態のまま寝床に入ってしまうと、その状態が維持されまま眠れない時間が続き、焦りや不安を増長しかねません。かといって、もう横になっているわけですから、打開する手段もなく眠れない時間だけがただ過ぎていく最悪の事態です。そうならないためにも、なるべく横になったら短時間で眠れるように、眠くなってからベッドに入るのが重要です。

ルーティーンだからと堅苦しくならず

就寝前のルーティーンというと必ずやらなければならない行動、と身構えてしまいますが、大切なのは速やかに眠るために心と体をリラックスさせることにつきます。義務感にかられて、ルーティーンが重荷になっては本末転倒です。

まずはできる範囲で試してみるのがおすすめです。できた日とできない日のある中で、自分に効果的なルーティーンを見極めることができれば最高です。

参考文献:田中英樹 「ぐっすり眠れる3つの習慣」 ベスト新書, 2008年, p62-67