みんなで運動すると喜びで満たされる理由
毎年、梅雨前や夏が過ぎた頃、多くの小学校や中学校のグラウンドで、赤白帽をかぶった子どもたちが一生懸命運動会の応援練習をしているのを見かけます。
運動会では、赤組白組に分かれての応援合戦は大きな見どころ。小学校でいえば1年生から6年生まで、みんなが同じ応援歌を歌い踊って勝利を祈願します。
実はこの応援合戦、運動会においてとても重要な役割を持っているのです。それは私たちが社会生活を営む上でも大きな役割を担うものでもあります。
今回の記事では
- 運動会で応援合戦が持つ大切な役割
- 私たちの日常生活で応援合戦と同じ役割を持つもの
について見ていきます。
Contents
集団で同じ踊りを踊った人の脳ではエンドルフィンが分泌される
エンドルフィンは、喜びや高揚感を生み、鎮痛の作用もある脳内物質です。
イギリスで心理学を学ぶ学生が、動きを合わせて踊る人のグループと、ばらばらで踊る人のグループの痛みに対する耐性を調査したところ、動きを合わせて踊る人のグループでは高い耐性が見られることが明らかになりました。
しかし、事前にエンドルフィンの作用を阻害する薬を投与した場合、動きを合わせて踊っても痛みへの耐性が高まることはありませんでした。
この結果から、動きを合わせて踊ることにより、脳内にエンドルフィンが分泌されることが分かります。
集団で動きを合わせて踊ることは集団的な喜びを生み出すことにつながるのです。
シンクロニー(同調行動)が一体感を生む
2012年に慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科が、同じ内容のプレゼンテーションを行なう前に、被験者とプレゼンターとで同調行動を行なった場合と行なわなかった場合での理解度や満足度、一体感について研究調査を行ないました。
その結果、同調行動を行なった場合では、理解度に有意差はなかったものの、満足度、面白さ、一体感については有意に高い数値を表しました。
同調行動は場において満足度などのプラスの感情を発生させ、一体感を高めることが明らかになったのです。
ともに体を動かすことが集団の結束力を強める
冒頭の運動会での応援合戦は、年齢も性別もばらばらの人たちが同じ歌を歌い、同じ振り付けの踊りを踊ることで、それぞれのチームの結束力を強める効果をもたらすと言えます。
個人的な勝ち負けだけなく、チームの勝利のために頑張りたいという気持ちが生まれるのです。
このようなことは、例えば会社など、共通の目標を持つ場でも見られることです。会社の方向性を理解し、ともに同じ方向を向いて動くことは、共通の目標達成に向けて各自が努力をすることにつながります。
私たちは一人の力で生きていくことはできません。生きるためには周りの人と力を合わせる必要があります。
シンクロニーによって喜びや一体感が生まれることは、私たちが他ならぬ人生を生き抜くために備えた機能の一つと言えるかもしれません。
wearaにもユーザー同士で同じ目標に向かって協力できる「ミッション」機能があります。ぜひ他のwearaユーザーとの一体感を感じながら運動を楽しんでみてくださいね。
参考文献:ケリー・マクゴニガル「スタンフォード式 人生を変える運動の科学」 大和書房,2020年,p.42-58
参考:慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科「プレゼンテーション前の同調行動が理解度・満足度に及ぼす影響」2012