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日本の睡眠教育は各国と比べて遅れている!睡眠負債国から脱出するために必要なのは「学び」

睡眠はあらゆる病気を防ぐために大きな役割を果たします。新型コロナウィルス感染拡大の防止対策でも、不要不急の外出や人との接触を避けることはもとより、充分な睡眠をとり免疫力を保つことが重要だとされています。

しかし、残念ながら日本は睡眠不足が習慣化した睡眠負債を抱えている人が大変多い国です。

心拍数モニターの開発で知られる健康・スポーツ関連コンピュータメーカーのポラール・エレクトロ・ジャパン株式会社が2017年に世界28ヵ国の利用者を対象に行なった睡眠調査では、日本人の男女別平均睡眠時間は、男性6時間30分、女性6時間40分と28カ国中最短の結果でした。

日本はなぜほかの国と比べ、これほどまで国民の睡眠時間が少なくなってしまっているのでしょうか?これにはどうやら「睡眠教育」のあり方が大きく関わっているようです。

今回は日本と睡眠教育の最先端と言われる米国とを比較しながら「睡眠教育」について考えていきます。

 

日本の睡眠教育は各国と比べて遅れている

米国医学図書館が提供している国際医学学術雑誌のデータベースでは、「Sleep」に関連する論文が13万9,500件も貯蔵されており、無償で閲覧することができます。また多くの大学で睡眠をテーマにした研究が行われており、その研究論文は学術機関リポジトリなどを通しオープンアクセス化されています。

米国は睡眠教育の最先端の国と言われており、米国睡眠財団や、睡眠に関わる調査や報告、科学的知識の提供を担う米国国立衛生研究所、米国睡眠医学会などが設置され、国民への睡眠教育の重要性の浸透が国全体で行われています。ビジネス大国アメリカでも、国民は仕事を優先するあまり睡眠を軽視するようなことはないと言えそうです。

一方、日本では厚生労働省が健康政策の一環として「健康日本21」で睡眠の重要性を取り上げているものの、教育現場では正規授業で睡眠教育が取り上げられておらず、医療・教育関係者や国民全体への浸透はまだまだといった状態です。

 

目を向けられ始めた日本での睡眠教育

とは言え、日本でも睡眠教育の基盤構築の試みの空気がないわけではありません。

2006年には滋賀医科大学を中心にさまざまな企業と睡眠の解決に取り組む「眠りの森事業」が立ち上げられました。

2012年からは、一般社団法人日本睡眠教育機構に事業を移行し、睡眠健康指導士の養成や資格認定を行なっています。

また、「命を縮める『睡眠負債』を解消する 科学的に正しい最速の方法」の著者で知られる白川修一郎氏が理事長を務める日本睡眠改善協議会でも、医療関係者や睡眠関連企業、教育や社会福祉、心理カウンセリングや運輸業などに従事する人を対象に睡眠改善インストラクターの育成講座を開設しています。

 

睡眠教育で認められた睡眠改善効果

広島国際大学心理学部が2016年に行なった睡眠教育に関する興味深い研究結果があります。

対象とした中学校の生徒229名 を、睡眠教育群と待機群に分け、睡眠教育群のみに睡眠知識教育を実施し、2週間、睡眠の自己調整を行なってもらいました。

その結果、睡眠教育群では睡眠促進行動が向上、就寝時刻や睡眠時間が大きく改善され、日中の眠気の改善も認められたのです。

 

多くの教育施設で睡眠科学、研究講座が設置されている米国などにくらべ、現状日本では睡眠健康教育を担いうる人材が極めて少ないです。

そのような人材を育成する場を整えていくことが、日本が睡眠負債国から脱出するための初めの一歩となるでしょう。

 

参考文献:白川修一郎「命を縮める『睡眠負債』を解消する 科学的に正しい最速の方法 祥伝社,2018年,p.231-243

広島国際大学心理学部「中学生に対する睡眠教育プログラムが睡眠習慣、日中の眠気の改善に与える効果ー睡眠教育群と待機群の比較ー」 行動療法研究42巻,2016年,p.39-50

参考:ポラール・エレクトロ・ジャパン株式会社「各国の平均入眠、起床、睡眠時間(男女別)」2017年

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