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睡眠の質を決める「生体リズム」って?乱れた生体リズムを整える方法

今、世界中の人々の健康や経済、生活に甚大な被害を与えている新型コロナウィルス感染症。感染するリスクを少なくするには、外出を控え、人との接触を極力避けることが重要とされています。

また、充分に睡眠をとり、コロナウィルスに負けない免疫力を維持することも私たちが日常でできる対策の1つですね。

とはいえ、実際に質の良い充分な睡眠をとれている人は案外少ないのではないでしょうか。

よりよい睡眠と大きく関わるのが、私たちの体の体内時計がつくる生体リズムです。

今回は睡眠の質を決める生体リズムとはどんなものか、そして乱れた生体リズムを整える方法についてお伝えしていきます。

 

生体リズムは不規則な生活で乱れる

多くの人は朝起床し、夜就寝します。これには、人間は体温が低いと眠りやすく、高いと眠りにくい特性があり、日中は体温が高く、夜低くなるというリズムが影響しています。

このようなリズムは生体リズム(サーカディアンリズム、概日リズム)と呼ばれ、私たちの体にある体内時計により作られています。

夜勤や日勤の交代勤務や、午前3時、4時に就寝するような超夜型生活などで不規則な睡眠時間が続くと、生体リズムに乱れが生じ、眠りの質が悪化してしまい睡眠負債をまねくことになります。

また、睡眠を安定させるメラトニンというホルモンがありますが、生体リズムが正常であれば、暗くなって就寝時間の1~2時間前には周期的に分泌されますが、生体リズムが崩れていると、このホルモンの分泌も不安定になります。  

生体リズムは生活環境により崩れやすく、その崩れは睡眠に大きな影響を与えるものなのですね。

 

生体リズムを正常に保つ「光」と食事

不規則な生活により容易に崩れてしまう生体リズム。

ここでは、私たちが生活する上で、生体リズムを正常に保つ大きな役割を持つ2つの事柄をご紹介します。

朝の光が生体リズムのずれを調節する

実は生体リズムの周期はピッタリ24時間ではなく、おおよそ24時間であることが分かっています。

私たちの生活は1日24時間周期のため、ほうっておくと生活の周期と生体周期は少しずつずれていくことになります。このずれを防ぐためにもっとも大きな役割を持つのが、朝の太陽の光です。

朝、太陽の光を浴びることで、生体リズムは1時間早まり、生活リズムとのずれを防ぐことができるのです。

朝、起床してしっかりと朝の太陽の光を浴びることは、不規則な睡眠時間や生活により崩れてしまった生体リズムのずれを戻すことにも効果があります。

食事と生体リズム

健康雑誌などでは、良質な睡眠と関わる栄養素としてトリプトファン、グリシン、テアニンといったアミノ酸が紹介されています。

しかし、睡眠に有効な量を食事によって摂るとなると、非常に多くの量が必要となり、現実には難しいでしょう。

食事が睡眠に及ぼす影響として、食事を摂るタイミングが考えられます。食事を摂った時に働く内臓の代謝リズムは、食事を摂るタイミングにより調整されます。

食事が不規則になり、代謝リズムがくるうと肥満になりやすく、睡眠も悪化しやすいことが明らかになっています。

 

生体リズムを整える最強の睡眠と食事方法

生体リズムと光、食事の関係をふまえ、生体リズムを整えるための方法をお伝えします。

生体リズムを整える休日の過ごし方

  1. 休日は朝午前10時までに起床し、朝食を摂り、太陽光を浴びる
  2. または、休日の前夜はいつもより1時間前に就寝、休日は普段の1時間後に起床。睡眠負債が強く残るようなら、2度寝はせず、午後0時~3時までの間に1~2時間の昼寝をする

生体リズムを整える食事

  1. 納豆などの大豆製品など、トリプトファンとビタミンB6を含む食物、もしくはそれらを含む食物を一緒に食べることを習慣にする
  2. 毎日の朝食と夕食の時間をほぼ一定に保つ

正常な生体リズムを保ち、質の良い睡眠をとって健康に過ごしたいですね。

 

参考文献:白川修一郎「命を縮める『睡眠負債』を解消する 科学的に正しい最速の方法 祥伝社,2018年,p.179-189

The VPAC2 Receptor Is Essential for Circadian Function in the Mouse Suprachiasmatic Nuclei」Cell Volume 109, Issue 4,2002, p 497-508

参考:重光康史「体内時計のしくみと合わせ方」近畿大学医学部公開講座,2004年

★★★weara元担当のすずまりさんと、らいらさんの記事を「weara blog編集部」としてこちらのアカウントにまとめています。★★★