ショートスリーパーの秘密とは?適切な睡眠時間を知る方法
みなさんは毎日、充分な睡眠をとっていらっしゃいますか?
自分に合った適切な睡眠時間をとることは、健康維持はもちろん、翌日頭をスッキリと働かせるための休養の役割を持っています。適切な睡眠時間を確保できない日が続くと、睡眠不足がまるで借金のように蓄積する睡眠負債の状態におちいってしまい、心身にさまざまな悪影響を及ぼす原因となります。
ときおり、TVやネットの情報の影響からか「私はショートスリーパーだからあまり寝なくても大丈夫」と言う人がいます。
ショートスリーパーとは、1日にわずか数時間という短時間の睡眠でも健康に元気に過ごせる人たちのこと。逆に1日に平均よりかなりの長さの睡眠が必要な人はロングスリーパーです。
1日の睡眠にあまり時間を取らず、ほかの時間を自由に使えるとしたら、少しうらやましい気がしますが、誰でも目指せばなれるものなのでしょうか?
今回はそんな「ショートスリーパーの秘密」と「自分に最適な睡眠時間を知る方法」をご紹介します。
Contents
日本人の成人の約4割は睡眠不足
睡眠負債をためないためには、自分に最適な睡眠時間をとることが重要ですが、年齢によってそれは異なります。
アメリカの睡眠医学会や国立衛生研究所が複数の国際医学論文などの信頼できるエビデンスをもとに、世代ごとに推奨される睡眠時間を公開しました。
これによると、
- 14歳~17歳:8~10時間(最小7時間未満/最大11時間以上を限界値とする)
- 18歳~25歳:7~9時間(最小6時間未満/最大11時間以上)
- 26歳~64歳:7~9時間(最小6時間未満/最大10時間以上)
- 65歳以上 :7~8時間(最小5時間未満/最大9時間以上)
が世代ごとに推奨される睡眠時間となっています。
ところが厚生労働省の平成30年の国民健康・栄養調査結果を見てみると、日本の成人男性では36.1%、女性では39.6%の平均睡眠時間が6時間未満となっており、約4割の人が睡眠不足であることが分かります。
画像:厚生労働省「平成 30 年国民健康・栄養調査結果の概要」第2部 第3章 身体活動・運動及び睡眠に関する状況,2018年,p22
ショートスリーパーの秘密
さて、平日も休日も、短時間の睡眠で日中眠気を感じずに問題なく過ごせるショートスリーパーですが、はたして誰でも目指せばなれるものなのでしょうか?
残念ながら答えはNOです。
近年の研究で、ショートスリーパーには遺伝が大きく関わっていることが明らかになりました。カリフォルニア大学の神経科学科教授フー・インスイ博士の研究グループが、ショートスリーパーの人では睡眠に影響を与える遺伝子「DEC2」「ADRB1」に変異があることをつきとめたのです。
つまり、この遺伝子を持っていない人が、有名人やネットなどの情報に影響を受けショートスリーパーを目指せば、健康を害する恐れがあるということです。
自分に合う睡眠時間を規則正しくとることが、翌日の一番のパフォーマンスアップにつながるのですね。
自分に最適な睡眠時間を知る方法
では、最適な睡眠時間はどうやって調べればよいのでしょうか。自分に合う睡眠時間は下記の方法で知ることができます。
- 起床時間は変えずに、いつもより30分程度早くベッドにつくようにし、1週間続ける
- 日中の眠気が改善しない場合、もう30分早めに就寝し、さらに1週間続ける
このように続け、平日と休日の睡眠時間に2時間以上の差がなく、目覚めのつらさや日中の眠気、うたた寝などの症状がほとんどみられないようになったところが、あなたのベストの睡眠時間です。
はじめにお伝えした世代ごとの推奨睡眠時間も鑑み、ぜひ自分に合った睡眠時間を見つけて、睡眠負債をためずに健康で快適な毎日を過ごしょう。
参考文献:白川修一郎「命を縮める『睡眠負債』を解消する 科学的に正しい最速の方法 祥伝社,2018年,p.145-151
Ying-Hui Fu「A Rare Mutation of β1-Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors」Neuron VOLUME 103, ISSUE 6,p1044-1055,2019
厚生労働省「平成 30 年国民健康・栄養調査結果の概要」第2部 第3章 身体活動・運動及び睡眠に関する状況,2018年,p22