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なぜ人間には睡眠が必要? 人間が獲得した睡眠の性質5つ

wearaには睡眠測定機能を搭載しており、特に睡眠周りはこだわって開発を進めています。

どちらかといえば、開発当初は従来の活動量計同様、日中の活動に注目していましたが、人間のからだを研究すればするほど、睡眠がいかに重要であるかがわかってきたのです。

なぜ人間には睡眠が必要なのか、睡眠についていちから学んでみましょう。

 

動物はなぜ眠るの?

人間に限らず、動物は睡眠を取ります。

そもそも、睡眠とは食料(餌)が確保できない時間帯に、エネルギーをできるだけ使わない状態を維持するために、進化の途上で獲得した生命現象です。

どのようにしてエネルギー消費を防ぐかというと、大きく挙げて2つの方法があります。

 

体温を下げる

睡眠時は皮膚の表面から体熱を外に放散することで体温を下げるようになっています。

人間の場合は、眠くなると手や足の動脈が拡張して、手のひらなどが温かくなったり、睡眠の前半で多量に出る寝汗だったりで体温を下げようとします。

そのため、体熱を逃しにくい環境や、手足の動脈が収縮する寒冷環境下では、内蔵などの体内温度が下がらず眠りに入りにくいのです。

夏場に寝付きが悪いのは、体温が下がりづらいからなんですね!

 

筋肉の緊張を下げる

筋肉はエネルギーをもっとも使用する器官のひとつ。食料が確保できないときは、筋肉をいかに動かさないかが重要になります。

そのため、睡眠時には筋肉の緊張を弛緩させる状態を作って長時間動かない状態を保ちます。

 

また、動物は厳しい野生環境を生き抜くために、以下のような睡眠機能も手に入れました。

 

外部からの小さな刺激を遮断する

逃げたり防御したりできない睡眠中には、敵に見つかりにくいよう、外部からの小さな刺激に対しては、あえて脳や体が反応しない状態を作っています。

 

大きな刺激を受けると覚醒する

一方で、大きな危険からは逃れられるように、一定以上の刺激があったときは覚醒するようになりました。

私たちも睡眠状態が悪化すると、体内外からの刺激によって目覚めてしまい、不眠がちになってしまいますね。

これも野生生活で身につけたこの特徴が原因なのです。

 

人間ならではの睡眠の特徴

さらに、人間は脳を特異的に発達させてきた過程でこのような睡眠の性質を獲得したと言われています。

 

①脳を休ませる

眠ることで脳の大脳皮質という箇所を休ませて回復させることができます。

そのため、睡眠不足になると脳が休息できず、適切に働かなくなるというわけです。

 

②交感神経を休ませる

人間は起きている間、自律神経のひとつである交感神経をしっかりと働かせます。

睡眠にはその交感神経を休息させる働きもあるため、睡眠中に交感神経を十分に休息できていない場合、自律神経の働きに失調が生じます。

 

③体内時計に影響される

生物の活動にみられる、一定時間ごとに繰り返されるリズムを「生体リズム」といいます。

睡眠は、その生体リズムを動かしている脳内にある体内時計に強く影響されて生まれる現象です。

しかし、成人になると睡眠/覚醒リズムと他の生体リズム現象との間の同調が外れやすいという特徴があります。

 

④体を回復・成長・発達させる

人間の睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」がありますが、睡眠前半の深いノンレム睡眠中には成長ホルモンが集中して分泌されます。

成長ホルモンは細胞の損傷修復、脂質の代謝促進、筋肉・骨の成長、脳神経系の発達に大きく関係しているため、睡眠には体を回復・成長・発達させる役割もあります。

22時〜2時が「睡眠のゴールデンタイム」と言われているのもこれが理由です。

ただし、この都市伝説は実は微妙に間違い!

22時〜という時間は関係なく、就寝時刻が少々ずれていても、規則的な睡眠習慣と睡眠時間をとっていれば成長ホルモンは分泌されます。

 

⑤記憶の定着と整理を促進させる

睡眠後半に出現が多くなるレム睡眠では、記憶の定着や記憶を引き出すための索引の作成が促進されます。

また、レム睡眠時は特に体で手順などを覚える「手続き記憶」の、ノンレム睡眠時は特に頭でイメージや知識を覚える「陳述記憶」の定着に重要な役割を果たします。

学生や勉強中の社会人のみなさんは、睡眠時間を削って勉強するのではなく、きちんと眠って記憶を定着させましょう!

 

人間の睡眠は重要な役割を担っている

「睡眠はどのような現象か」を知っておくと、睡眠の大切さや睡眠負債の危険性について納得しやすいはずです。

睡眠を削って仕事したり、就寝前にダラダラとYouTubeを見たりすることがいかによくない習慣であるかがわかったと思います。

実践が難しくても、まずは睡眠を最優先にした生活スタイルを作り直すところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

参考文献:白川修一郎「命を縮める『睡眠負債』を解消する 科学的に正しい最速の方法」祥伝社,2018年,p.24-32

★★★weara元担当のすずまりさんと、らいらさんの記事を「weara blog編集部」としてこちらのアカウントにまとめています。★★★