世の中のウェアラブルデバイスに足りなかったもの【デザイン編】
最近、中国の新型コロナウィルスの状況が気になって気になって仕方がない、wearaプロデューサーのHossyです。旧正月が明けてから再び開発スピードをブーストさせるために訪中しようと思っていたところが、今の状況では行くことができないからです。
さて、今回は「wearaの始まりの始まり」という記事の続きとなります。前回は「いつも身につけるのに良いデバイスがないから作ろうと思った」というきっかけについて書いています。
なぜ、世の中のウェアラブルデバイスを自分で使いたいと思わなかったのでしょうか。
発表会などのプレゼンテーションでは3つの要素を挙げています。今回はその1つ目であり、かなり大きなウェイトを占める「デザイン」です。
かつて、私が代表を務める会社トリニティで「Jawbone」というブランドの日本総代理店を務めていて、その代表的な製品としてJawbone UPというウェアラブルリストバンドの先駆けともいえる製品がありました。
世界でも有名なイブ・ベアールというデザイナーが深く関わり、プロダクトデザインとしてもそれまでにはなかった素晴らしいもので、アプリのインターフェースなども美しく、付属品なども含めて細部に渡りしっかりとデザインされた製品でした。
詳細については「Jawboneとの思い出」という記事に書いているので興味がある方は読んでいただければと思いますが、紆余曲折がありながらも結果としてJawboneという会社は消滅してしまいました。
その後、さまざまなブランドの製品を試してみたものの、デザインという面ではJawbone UPを超える製品は存在しませんでした。
もちろん、時代は変わっていっていて光学式心拍計が標準搭載されるようになり、サイズなどにも制限がかかったりしているため、なかなか同じように作れないという事情はあるものの、それでもデザインの方向性としてはガジェット感満載で「機能としてはたくさんあるよ」というものか、もしくはスマートウォッチのような製品ばかりでした。
ウェアラブル、特にwearaの目指すような24時間365日のライフログとして継続して記録していくことを目的としている製品は、機能としていろいろなことを追求するよりも、毎日ずっと着けていて違和感がないデザインであるべきと考えていました。
また、時計と一緒に使える製品であるべきとも考えていました。
時計をしない人もいるとは思いますが、大多数の人は時計をしていて、それと同じような機能を提供すれば、時計とバッティングして争うことになってしまいます。
時計を装着している腕と反対側、もしくは同じ腕に二重で着けることもできる共存できる製品が欲しいと思っていました。
そして、毎日ずっと装着するのですから、100人いたら100人が違うものを求めるという、カスタマイズのニーズも満たしたいと思っていました。
ファッションの分野においては、同じものを着る、同じアクセサリーをする、というのはあまり好ましいことではありません。「服が被った」というのはあまり良い意味で発しない言葉ですね。
その意味で、カラーや素材などを自由にカスタマイズできるような製品でないといけないと考えていました。
しかし、世の中にある製品のほとんどが、樹脂(プラスチック)や金属製のものばかりで冷たく、メーカーの用意したカラーでしか購入することができないものばかりでした。
カラーバリエーションが多少存在していても、黒白赤青といった定番色しかなく、選ぶというような状況ではありませんでした。
昨今はスマートウォッチ全盛の時代ですので、そこから逆行するような機能性を表に出さないという製品は見当たらなかったのです。
そこで、wearaが実現したことは「テクノロジーは内側に、ファッションを外側に」というキーワードから生まれました。
- 究極にシンプルであること
- テクノロジーが表に出ないこと
- 時計と共存できるデザインであること
- カラーや素材にバリエーションがあること
- カジュアル、フォーマル、スポーツなどさまざまなシチュエーションにマッチさせられること
- カスタマイズできること
最終的に仕上がったデザインについては、別途詳しく記事にしたいと思いますが、これらを実現してくれたのがプロダクトデザイナーチームのTENTです。
私が別にやっているNuAnsというブランドを一緒に作ってくれている気心知れたデザインチームが、これらをすべて実現する素晴らしいデザインを提案してくれました。
デザイン面においては、世の中にはないまったく新しい、そしてまさに私が欲しかったデザインに辿り着くことができました。